歯科医院における、歯科用CTの特徴と撮影することのメリットについて

「歯科医院でCTを撮影する理由は?」
「自分にもCT撮影が必要なの?」

CTについて、みなさまはどの程度ご存知でしょうか。
『CT』という言葉については、医療ドラマなどで聞いたことがあるという方が多いかと思います。現代では、医科の領域はもちろん、歯科の領域でもCTによる診断は必須と言っても過言ではありません。しかし、「歯科医院でCT?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、「CTと普通のレントゲンとの違いは?」「歯科医院でCT撮影をした方が良いと言われたけど、本当に必要なの?」という方に向けて、歯科医院でCT撮影を行うべき状況や、そのメリットについて歯科医師が詳しく解説していきます。

歯科用CTについて

歯科医院で導入されているCTは、歯科用CT(コーンビームCT・CBCTとも呼ばれます)といって、歯科治療に特化したCT撮影機器を使用しています。
医科用CTと比較した際の歯科用CTの特徴としては、以下の通りです。

  • 横たわって撮影する医科用CTと違い、立ったまま(座ったまま)撮影ができる
  • 撮影した画像の解像度が高い
  • 撮影時間が短い
  • 被ばく量が少ない

このような特長がある歯科用CTですが、どの歯科医院でも撮影ができるわけではありません。歯科用CTの導入率(普及率)は、歯科医院全体の10〜20%と言われています。
決して安価な機材ではないことや、CTの撮影や画像の読影(CT画像を正確に読み解いて診断をすること)にも特別な知識や技術が必要です。そのため、歯科医院のCT導入は高いハードルがあるのも事実です。しかし、当院においてもCT撮影の頻度はとても高く、正確な診断のためには必須であると考えています。

歯科用CTと通常のレントゲン撮影との違い

歯科用CTと通常のレントゲン撮影との違いは、でき上がる画像の次元の違いです。
通常のレントゲン撮影は、人体という3次元(立体)のものを2次元(平面)に投影しています。例えて言うと、影絵のようなものです。そのため、得られた画像からは奥行きや前後関係を正確に把握することができません。

歯科用CTでは、3次元での撮影が可能となります。撮影されたものをそのまま3次元の画像として確認できたり、様々な断面として確認することが可能です。そのため、通常のレントゲン撮影では確認することができなかった、顎の骨の厚み、歯根の詳細な形、親知らずと神経の距離、顎関節の形などを正確に読み解くことができます。

ちなみに、歯科用CTやレントゲン撮影は、硬組織の描写に優れています。すなわち、歯や骨などの硬い組織を見分けるのがとても得意です。そのため、骨折や骨の変形、歯を支える骨の量、歯のエナメル質の厚みや虫歯の深さなどは細かく診断できます。その一方で、血管・神経・筋肉・脂肪・歯茎などの軟組織を見分けることは少し苦手です。ただし、骨の中を走行する神経などは、骨の形状から推察することもできます。

歯科用CTの安全性について

歯科用CTはとても安全に使用することができます。通常のレントゲン撮影やCT撮影を行う上で、放射線による被ばくが発生しますが、歯科用CTが健康に及ぼす影響は全くないと言えます。

歯科用CTの被ばく量は医科用CTの1/10程度であり、また撮影範囲が頭頚部に限定されていることから放射線の被ばくはとても少ないです。その被ばく量は、東京〜ニューヨークを飛行機で移動するのと同じ程度、または日本における年間の自然放射による被ばく量の1/10以下と言われており、人体に対する有害な影響はほとんどありません。

さらに、万が一、妊娠に気付かずに歯科用CTを撮影してしまった場合でも、被ばく量が少ないこと、撮影範囲が腹部と離れていること、防護用エプロンを着用していることから、胎児への影響はほとんど考えられません。ただし、妊娠の可能性がある場合は、あらかじめ担当医にお伝えください。

一般的に、CTなど、レントゲン撮影では『リスクとベネフィット』という考え方があります。つまり、患者にとってのリスク(被ばくの危険性)よりも、撮影によって得られるベネフィット(正確な診断ができるという利益)が大きいと判断される場合に、撮影が行われるというものです。そのため、すべての患者様にCT撮影が必須というわけではなく、歯科医師が本当に必要と判断した時以外は撮影の提案をすることはないため、ご安心ください。

歯科用CT撮影を行う治療内容と、得られるメリット

それでは、具体的にはどのような処置に対して歯科用CTによる撮影が行われるのでしょうか。撮影によって得られるメリットと合わせてご紹介します。

インプラント治療

インプラントを支えるために必要な骨の厚みや量、骨の質を見極めることができます。また、血管や神経の走行や上顎洞までの距離を計測することで、安全にインプラント手術を行う手助けをします。
既に埋入されているインプラントの炎症の有無や骨の安定性を診断するのにも役立ちます。

矯正治療

上あごと下あごの位置関係や骨格のバランスを評価し、お顔に調和した美しい歯並びを実現することに役立ちます。また、埋まっている親知らずや顎関節の状態を把握するのにも役立ちます。また、歯を動かすための骨の厚みを確認することで、矯正治療後に歯茎の変化を防止できます。

顎関節症治療

顎関節の骨の形や、上下の骨の位置関係を確認できます。また、お口を閉じた状態と開けた状態との画像を見比べることによって、顎関節の動きの左右差を検出することができます。

親知らず抜歯

親知らずの埋まっている位置だけでなく、親知らずの歯根の形や前の歯との位置関係を事前に評価することで、スムーズな処置が可能になります。また、血管や神経との距離を正確に計測できるため、安全に抜歯を行うことができます。

根管治療(歯根破折の状態)

歯根の数や形は人それぞれ異なります。CTによる評価は、歯根の位置や曲がり具合を正確に確認し、歯根の先端に存在する炎症の大きさを正確に把握できます。歯根が割れている場合、割れる位置によっては通常のレントゲン撮影では写ってきませんが、CTで様々な角度から確認することで割れている場所を診断できます。

歯周病治療

歯を支える骨の量や、歯周病によって骨が溶けてしまっている部分を正確に診断できます。また、歯周病の手術前にCT撮影を行うことで、手術範囲を最小限に抑えることができ、安全で低侵襲な処置が可能となります。

通常のレントゲン撮影の方がメリットが大きい場合も

これまでCT撮影のメリットを記載してきましたが、通常のレントゲン撮影にも優れた点があります。

CT撮影では、口腔内の金属の周囲にアーチファクトというノイズが出現してしまい、画像が荒れて診断性能が落ちてしまうことがあります。一方で、通常のレントゲン撮影の方が金属と歯の境目にある虫歯や、金属が装着された歯の歯周病の状態を評価するのに適しています。さらに、通常のレントゲン撮影の方が顎の骨や歯の状態を一目で確認しやすかったり、手軽に撮影できることから、処置前と処置後の比較がしやすかったりします。

このように、用途によって撮影の方法を使い分けることが重要です。

まとめ

いかがでしょうか。今回は歯科医院でCT撮影を行うべき状況や、歯科用CTのメリットについて解説しました。

歯科用CTの撮影には必ず被ばくを伴いますが、最新機種では低被ばくで高品質のCT撮影が可能となります。CT撮影を行うことで、通常のレントゲン撮影では分からないような詳細な情報を得ることができ、より正確な診断が可能となります。また、歯科用CTは特別な診断方法というわけではなく、顎関節症治療、歯周病治療、根管治療などでは健康保険適応範囲内で撮影することも可能です。

さらに、CT撮影は保険適応外の治療にも幅広く使用されます。特に、インプラント治療を受ける場合にはCT画像を使用した診断は必須と言えるでしょう。学会からも、患者様の安全を考えて、インプラント治療前にはCT撮影を100%行うべきであると推奨されています。

歯科用CTを使用した精密検査を行えるかどうかが、歯科医院選びのポイントになるかもしれません。

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