セラミック治療で憧れの白い歯を手に入れませんか。セラミック治療に使われる材料の特徴について解説します

The person in the closeup is smiling and has white teeth, indicating they have good dental hygiene. The aquiline nose is a prominent feature, as is the high level of detail in the face. It is clear that the person has had some sort of facial implants, most likely to improve their appearance. The dog in the background is also in profile, and its breed is unclear.

きれいに並んだ白い歯に憧れる方は多いのではないでしょうか。
古くから「明眸皓歯」という言葉があるように、白い歯というのは美しさの基準のひとつとして考えられていたようです。

以前は、歯の治療と言えば銀歯など金属を入れて治すといったイメージがありましたが、現在ではセラミックなどいろいろな選択肢が増えました。セラミック治療について聞いたことがある方や気になっている方も多いと思います。最近では“セラミック矯正”という単語も話題になっていますが、その一方で、セラミック治療の特徴についてはよく分からないという方や、値段がとても高いイメージを持たれていたり、歯の寿命が短くなって後悔することを心配されたりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、セラミック治療で後悔しないために、その特徴や使用される主な材料について解説したいと思います。

セラミック治療とは

虫歯になったときや、歯が欠けてしまったときには、見た目と噛み合わせの回復のために歯を材料で補う必要があります。歯科治療で用いられる材料は、金属・レジン(樹脂)・セラミックの3種類に大まかに分類されます。

金属では、金(ゴールド)やプラチナ、保険適応の金銀パラジウム合金が主に使用されます。共通の特徴として、金属は加工がしやすく古くから用いられている材料のためクラウンやインレー、ブリッジなど幅広く応用できること、延性材料(力がかかったときに割れにくく延びる性質を持つ材料)であるため割れたり欠けたりといったトラブルが少ないこと、といったメリットがあります。

一方、金属色のため見た目が悪いことや、保険適応の金銀パラジウム合金はお口の中でイオン化しやすく、金属アレルギーを引き起こす場合や、劣化によって汚れが付きやすくなることで虫歯や歯周病の原因になります。さらに噛み合わせの力によって歪みが起こり、金属と歯の隙間から細菌が入ることで知らず知らずのうちに金属の下で虫歯が進行するといったデメリットもあります。

レジンは主に小さな虫歯の詰め物として使用されることが多い樹脂材料です。特徴として、歯に直接くっつくため、型採りが必要な金属やセラミックと比較すると歯を削る量を少少なくすることができます。また色の種類が豊富で色合わせがしやすいため見た目が良く審美的であることもメリットです。しかし、吸水によって経時的に変色(色がくすむ、暗くなる)することや、表面が粗造になることで汚れやプラークが付着しやすくなるといったデメリットがあります。また大きな虫歯や噛み合わせの力がかかる場所に適応されることは稀で、その場合は型採りをして金属やセラミックを作る必要があります。

セラミックと一言でいっても、食器のセラミックは主に陶磁器を指しますが、歯科治療に使用されるセラミックには様々な種類があります。さらに、セラミックと上述のレジンを混ぜ合わせたハイブリッドセラミックという材料もあります。セラミックは幅広い症例に応用されており、インレーやアンレーといった部分的な被せ物や、クラウンやブリッジなどの広い範囲を治す際にも用いられます。

セラミックに共通の特徴としては、色調が良い材料が多く審美的であり、吸水しないため変色することなくきれいな見た目が長持ちします。さらに、プラークや汚れが付着しづらく、また落とすのも容易なためお手入れがしやすいといったメリットがあります。しかし、脆性材料(力がかかったときにほとんど変形せず割れる材料)のため過大な力がかかった際に割れる可能性があることや、保険適応外のため金属やレジンよりも高価なことが多いといったデメリットもあります。

それぞれにメリットとデメリットがあるため、ご自身の口の中にはどの材料がぴったりかについて、歯医者さんと納得のいくまで相談することをオススメします。

セラミック治療に使われる材料とは

セラミックには様々な種類があることは先ほど述べました。なぜ多くの種類があるのかというと、実は歯科に用いられる材料のうち、金属とレジン以外のものは全てセラミックに分類されます。そのため歯科医院によって、取り扱うセラミックが異なる場合もありますので注意が必要です。

セラミックのうち、使用される頻度が高い、メタルボンド、ガラスセラミック、ジルコニアの3種類についてもう少し詳しく解説したいと思います。

メタルボンドの特徴 メリット・デメリット

メタルボンドは陶材焼付鋳造冠ともいわれますが、漢字の通り、セラミック単体ではなく、金属の裏打ちにセラミックを焼き付けた2層構造をしています。使用されるセラミックは陶器で、粉と液を混ぜたものを高温の釜で金属に焼き付けます。

<メタルボンドのメリット>

陶器部分の材料となる粉には白だけではなく、黄色や青色などたくさんのラインナップがあり、それを組み合わせることで天然の歯がもつ微妙な色調を再現できるといった特徴があります。割と古くからある治療法で、クラウンから大きなブリッジなど、金属がもつ柔軟さを活かして幅広い症例に応用が可能です。また使用する金属は、保険適応の金銀パラジウム合金とは異なり、お口の中でもほとんど腐食しないため、金属アレルギーの心配も少ないと言われています。

<メタルボンドのデメリット>

2層構造のため、インレーやアンレーなどの小さな症例には使用できません。金属の裏打ちがいることから、金属とセラミックの2層分の厚みを確保するように歯を削る必要があります。陶材(セラミック)の部分が薄いと透明感が出しづらく、金属が透けてくすんだような暗い色味になってしまうことがあります。また力がかかった際に、金属がたわんでも表面のセラミックが曲がらないため、セラミック部分にヒビや亀裂が入ったり、欠けて金属色が露出したりすることで見た目が悪くなってしまうリスクもあります。また金属は加工(鋳造)の際に大きさが変わる性質を持つため、範囲が広いブリッジでは適合精度が甘くなる(金属と歯の間に隙間ができる)ことがあります。

<メタルボンドについて、まとめ>

メタルボンドは古くから広く使用されている治療法のため、歯科医師にとっても安心感のある材料です。しかし、金属を使用することや、金属の露出のトラブルで見た目が悪くなることから、近年では敬遠されることもあります。また、コンピュータを使用したデジタルでの型採りは応用できず、従来通りの型採りが必要な事や、金属や陶器の加工も歯科技工士の手作業で行うため、精度良く作るためには歯科医師・歯科技工士の経験と、連携がとても重要です。

ガラスセラミックの特徴 メリット・デメリット

ガラスセラミックには、長石系/リューサイト系/二系酸リチウム/高強度型などいくつかの分類に分かれており、また作る工程もコンピュータで設計する場合や溶かしたブロックを模型にプレスする場合など様々あるため、とても多くの種類があります。中でも、IPS e-maxという製品が有名で使用頻度が高く、「e-max」という名前そのままで患者さんに紹介される場合もあるようです。

<ガラスセラミックのメリット>

ガラスセラミックという名前の通り透明感がある材料で、歯の持つ自然な透明感や奥行きを再現することができ、また金属を使用しないので暗い色味になることもありません。摩耗性(すり減りやすさ)が天然の歯に近いため、噛み合わせの変化に馴染みが良いという特徴もあります。範囲の大きなブリッジには使用できませんが、インレーやアンレーからクラウン、小さなブリッジなど、幅広い症例に応用が可能です。

<ガラスセラミックのデメリット>

原材料や製作方法によって強度は異なりますが、一般的には後述するジルコニアよりも強度に劣ることが多く、修復物の大きさや噛み合わせによっては割れる可能性があります。

<ガラスセラミックについて、まとめ>

ガラスセラミックは主に小さい修復物に使用され、硬さや透明感が天然歯に似ていることから、審美的な結果が得やすい材料である一方、材料の性質上、割れる可能性もあります。歯の削り方(削る範囲や厚み)や型採りの精度、さらに接着方法を工夫することによって、割れるリスクを減らしトラブルを未然に防ぐことができるので、歯科医師の経験や技術に左右されやすい材料と言えるでしょう。

ジルコニアの特徴 メリット・デメリット

<ジルコニアとは?>

歯科で使用されるジルコニアとは、正式には二酸化ジルコニウムという材料を指します。ジルコニアは「人工ダイヤモンド」や「模造ダイヤモンド」とも呼ばれる硬い材料ですが、透明な結晶は「キュービックジルコニア」といって安定した硬さや透明感からアクセサリーにも使用されています。歯科では、結晶の構造を変化させた白いジルコニアが主に使用されます。

<ジルコニアのメリット>

ジルコニアはとても硬い材料のため、硬い状態では切削する器具が負けてしまい加工することができません。そのため、半焼結と呼ばれる柔らかい状態からコンピュータで削り出して加工を行い、1,200~1,600℃の炉に入れて加熱・焼結するとお口の中で使用できる硬さになります。ジルコニアは焼結によって約20%収縮するので、少し大きい状態で細かいデザインを行うことが可能となり、天然の歯の立体的な感じが細かく再現できます。

また、形の設計や削り出し加工を全てコンピュータ制御で行うため、精度や品質を安定して保つことができます。前歯や奥歯、インレーから広範囲のブリッジなど、最も様々な症例に応用することが可能です。奥歯など普段あまり見えない部分ではそのままで十分きれいなのですが、上の前歯のような審美領域の色の再現は少し苦手です。そのような場合は、表側にセラミック(陶材)を焼き付けることで、色味や透明感を再現することが可能です。

これは上述したメタルボンドと同じような方法ですが、後ろが金属ではなく白いジルコニアなので裏打ちの暗さや歯茎との境目が黒ずむことを避けることができます。コンピュータで加工することで、歯に精度良く隙間がほとんどないように装着できるため、歯と修復物の境目にプラークが溜まりづらく、また人工関節などにも応用される材料なので生体親和性が良くお口の中での劣化もほとんどありません。長期的に見たときにも、色味の変化がほとんどないだけでなく、虫歯や歯周病のリスクを減らすこともできる材料です。

<ジルコニアのデメリット>

ジルコニアの注意点は、とても硬い材料のため、調整や研磨が難しく、表面が荒れた状態のままだとやすりがけのように噛み合わせの歯を傷つける可能性があることです。時間をかけて丁寧に研磨したり、必要な時は技工士さんに再度預けたりすることで、表面が滑沢になり噛み合わせの歯も長持ちします。また、硬い材料とはいっても材料の薄さや噛み合わせによっては割れる可能性がある点も気をつける必要があります。

<ジルコニアについて、まとめ>

ジルコニアといえば、以前は透明感のないマットで真っ白な色味しかなく、とても前歯には使用できませんでした。最近では材料の進化で、歯の自然な透明感とグラデーションを再現したジルコニアも流通しており、とても幅広く使える優れた材料です。とても硬く、調整など取扱いが難しいという一面もあるため、歯科医師の知識と技術がとても重要です。

セラミック治療で後悔しないためのポイント

材料や技術の進歩もあり、保険治療でも金属以外の選択肢が増えてきました。前歯や小臼歯にはCAD/CAM冠といって金属を使用しない白い冠も選択することができますが、審美性だけでなく、耐久性と色や表面の安定性はセラミックに劣ります。再治療のたびに歯のダメージは蓄積するので、歯を長持ちさせたい方にはセラミックを強くお勧めします。しかし、ここまで読んでいただいたようにセラミックにもデメリットはあります。値段が高い治療だからこそ、後悔しないように納得してから治療を受ける必要があるでしょう。

さらに、実は「オールセラミック」という材料は世の中には存在しません。歯科医院によって、e-maxやジルコニア単体のもの、またジルコニアと陶材をミックスしたものを「オールセラミック」と独自に設定しているだけなのです。「セラミックだから安心」と安易に理解せず、何を重要視しているかを歯医者さんに伝えてください。また、金属やセラミックの種類によって歯の削り方や接着方法が異なるため、材料の特性に精通してそれを分かりやすく説明してくれる歯医者さんのもとで治療を受けることも、セラミックを長持ちさせるポイントのひとつです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。セラミックに共通した特徴として、審美性が高いこと、汚れがつきづらく手入れがしやすいこと、虫歯や歯周病が予防できること、といったメリットがある一方、割れる可能性があることや保険外治療のため値段が高いことなどのデメリットもあります。すべての歯に最適な治療は存在しないので、自分の噛み合わせなどお口の特徴を考慮した上で自分に合った治療法を選んでください。

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