「ボトックスって顔がこわばるんじゃないの?」
「効果がなかったら後悔しそう…」
こんにちは。
名古屋市千種区にある歯医者、ちくさ池下歯科・矯正歯科 院長の河村です。
歯ぎしりや食いしばりに悩まされている方は多くいますが、上記のような不安から、歯ぎしりや食いしばりで悩んでいても、治療をためらっている方は少なくありません。
しかし実際には、ボトックス(ボツリヌストキシン療法)は適切に行えば、顎の痛みや筋肉の緊張の軽減に効果的な治療法です。
本記事では、名古屋市千種区の歯科医院「ちくさ池下歯科・矯正歯科」院長で日本顎関節学会専門医の資格を持つ河村篤志が、「ボトックスで後悔しないために知っておくべき5つのポイント」をわかりやすく解説します。
目次
1.「表情がこわばる」は誤解|ボトックスは“自然さ重視”
ボトックス(ボツリヌストキシン治療)は、ボツリヌス菌から作られた筋肉の動きを一時的にゆるめる薬剤を注射する治療法です。美容分野では表情ジワや小顔目的でも使われていますが、歯科では筋肉の緊張緩和によって歯ぎしり・食いしばりの負担を軽減することが目的です。
「顔がこわばるのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、ボトックスはヒアルロン酸や糸リフトのように“何かを入れる”治療ではなく、筋肉の緊張を一時的にゆるめる注射です。効果は数ヶ月ほどで自然に薄れていくため、永続的な変化ではありません。
当院では、表情や噛む機能に影響が出ないよう、筋肉のバランスに十分配慮して施術を行っています。
※当院では、30か国以上で実績のある韓国製の高品質な製剤を使用しています。本文中ではわかりやすく「ボトックス」と表記します。
2.永続的な効果ではない|「補助療法」としての位置づけ
ボトックスの効果は約3〜4ヶ月。永続的ではないため、「一度打てば半永久的に大丈夫」と誤解してしまうと、期待外れに感じて後悔につながることもあります。
また、マウスピースも歯や顎への負担を軽減するために有効ですが、根本的な改善のためには、無意識の歯列接触(TCH)をコントロールする行動療法が重要です。
当院では、TCH指導を基本とし、必要に応じてマウスピースやボトックスを併用することで、筋肉の過緊張を緩和し、症状の軽減を図る “補助的な治療” としてボトックスを活用しています。
3.副作用のリスクも知っておく
ボトックスは比較的安全性の高い治療ですが、ごくまれに以下のような副作用が見られることがあります。
- 一時的にかみにくい・あごがだるく感じる
- 注射部位に内出血や腫れが出る(通常数日〜1週間で改善)
- 効果が強く出た場合、一時的な筋力低下を感じる
- 稀に、筋力低下によりほうれい線が目立つと感じる
これらは多くの場合、一時的で自然に回復しますが、事前に十分な説明を受け、納得したうえで治療を受けることが、後悔を避けるためにとても大切です。
また、ボトックス治療後は、男女ともに一定期間の妊娠が推奨されていません。
これは、ボツリヌストキシンが妊娠初期の胎児や精子に与える影響について、十分な安全性データが確立されていないためです。
- 女性の場合:治療後2〜3ヶ月は避妊が推奨されています
- 男性の場合:精子への影響の可能性も否定できないため、治療後2〜3ヶ月の妊娠計画は控えることが望ましいとされています
妊娠を希望されている方や、妊活中の方は、治療を開始する前に必ず歯科医師にご相談ください。
4.すべての人に適しているわけではない|専門的な診断が重要
「歯ぎしり=ボトックスが効く」とは限りません。
ストレスや生活習慣だけでなく、咬み合わせや顎関節の状態によっては、他の治療法がより適しているケースもあります。
当院では、筋触診や必要に応じて咬合診査などを行い、本当にボトックスが効果的かどうかを見極めたうえでご提案しています。
5.食いしばり治療目的なら、歯科医院での施術を|後悔しないために知っておきたいこと
美容目的のボトックスは美容クリニックでも受けられますが、噛みしめ・食いしばりの治療には、筋肉や咬み合わせに関する専門的な知識が欠かせません。
安易に美容目的の施術を受けて「思ったような効果が得られなかった」「かえって噛みにくくなった」と後悔するケースもあるため注意が必要です。
当院では、顎関節症の専門医が診断を行い、筋肉と咬合のバランスを重視した安全・適切なボツリヌス治療を提供しています。施術の目的は小顔効果ではなく、歯ぎしりや食いしばりによって歯や顎関節にかかるストレスを軽減することです。
そのため、治療前には顎関節の状態・虫歯・歯周病の有無などをしっかりと検査します。
歯のすり減り、顎の痛み、マウスピースだけでは不十分と感じている方は、後悔しない選択のためにも、ぜひ一度歯科でのご相談をおすすめします。
6.まとめ 後悔しないためには、まずカウンセリングを
いかがでしたでしょうか。今回は、ボツリヌス治療(ボトックス注射)を使った歯ぎしり・食いしばり治療の特徴や注意点、後悔しないためのポイントについて解説しました。
歯ぎしりや食いしばりによる症状は、痛みが少ない分、軽視されがちですが、日常的な疲労感や顎のだるさ、歯のすり減りや顎関節症のリスクなど、放置することでさまざまなトラブルにつながります。
ボツリヌス治療は、美容目的ではなく「治療目的」で正しく活用することで、後悔のない選択につながります。「マウスピースだけでは物足りない」「顎の疲れや痛みがつらい」という方は、まず一度カウンセリングを受けてみてください。
名古屋市千種区にある歯医者 ちくさ池下歯科・矯正歯科 では、日本顎関節学会専門医の資格を持つ院長が、カウンセリングから顎関節の診断、ボツリヌス治療の施術までを一貫して担当しております。
他にもマウスピース治療などの診療メニューのご案内も可能です。まずは検査と相談だけでも、ぜひお気軽にお問い合わせください。