こんな場合はインプラント治療をやめた方がよいかも? インプラント治療を見合わせるべき3つのケース

インプラント

「インプラント治療を避けた方がよいのはどんな人?」「インプラント治療後にも歯医者さんに通う必要があるの?」

こんにちは。

名古屋市千種区の歯医者、ちくさ池下歯科・矯正歯科 院長の河村篤志です。

インプラント治療は多くの人にとってメリットが多い治療法ですが、残念ながらすべての人に適しているわけではなく、インプラント治療を避けた方がよい場合、インプラント治療をやらない方がよいときがあります。その理由として、特定の生活習慣や健康状態が治療の成功を難しくすることがあるからです。今回は、インプラント治療を見合わせるべきかもしれない3つの具体的なケースについて、その理由と背景を深掘りしていきます。インプラント治療を検討している方は、特に注意してみてください。

はじめに

インプラント治療とは、歯を失った場所にインプラントと呼ばれる人工歯根を埋め込み、その上にセラミックや金属製の人工歯を取り付ける治療法です。この治療法は、見た目の自然さと快適な噛み心地により、多くの患者に選ばれています。

しかし、インプラントが成功するかどうかは単に歯科医師の技術だけでなく、患者様の健康状態や生活習慣にも大きく依存します。したがって、インプラント治療を考える際には、これらの要因に関するリスクも考慮することが非常に重要です。

今回はインプラント治療を見合わせるべき3つの具体的なケースに焦点を当て、それぞれのリスクと対策を詳しく解説します。

インプラント治療に適さないケース3選

ヘビースモーカーの人

喫煙はインプラント治療の成功率を著しく低下させる主な要因です。タバコの煙に含まれる化学物質は、血流を悪化させるだけでなく、口腔内の細菌環境にも影響を与えます。これらの影響で、インプラント手術後の歯茎や骨の回復能力が著しく妨げられてしまいます。これは、アイコスなどの加熱式タバコでも同様です。

治癒過程への影響

喫煙による血流の障害によって、治癒を必要とする組織への酸素と栄養素の供給が不十分となってしまいます。これによって、インプラントの周囲組織の治癒が遅くなり、結果的にインプラントの定着が悪く、最悪の場合は脱落などのインプラントの失敗に繋がります。また、喫煙は口腔内の細菌バランスを変化させ、インプラント周囲炎などの感染症のリスクを高めることが知られています。

インプラント失敗率への影響

喫煙者は非喫煙者に比べて、インプラント治療における合併症発生率が高いことが多くの研究で示されています。特にインプラント周囲炎のリスクが顕著で、これはインプラントの失敗に直結します。さらに、喫煙によって手術後の治癒が阻害されるため、インプラント埋入手術直後の失敗リスクが高いとも言われています。インプラント治療を考えている方は、インプラント手術前後の減煙だけでなく、インプラント治療前からの禁煙を真剣に考慮することが推奨されます。

定期検診を拒否する人

インプラント治療後のメンテナンスは、インプラントを長期間健康に保つために不可欠です。毎日のセルフケアに加えて、定期的な歯科医院での診察により、問題を早期発見し、適切な処置を施すことができます。

インプラント成功率と口腔清掃

定期検診は、インプラントの長期的な成功を左右する重要な要素です。適切なメインテナンスが行われない場合、プラークや細菌が蓄積し、インプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。この状態が放置されると、インプラントを支える骨が徐々に減少し、最終的にはインプラントの脱落に至ることもあります。そのため、定期的なクリーニングと専門的な検診が不可欠です。

定期検診の重要性

定期的なメインテナンスは、単にインプラントの問題を早期発見するだけでなく、インプラントの長期的な安定と、噛み合わせの機能を保つためにも重要です。歯科医院ではインプラント周囲の清掃状態だけでなく、インプラントの固定状態、歯茎の健康状態、および骨の状態を評価します。これにより、小さな問題が大きなトラブルに発展するのを防ぐことができます。

定期検診は患者様が自身の口腔清掃状態を理解し、必要な場合にはブラッシングなどの生活習慣の改善に気付く良いきっかけとなります。トラブルが起きてから通院しようと考えて、定期検診をサボってしまうと、インプラント治療の成功率を大幅に低下させる原因となるため、インプラント治療後は歯科医院の指示通りのスケジュールで検診を受けましょう。

重度の慢性疾患を患っている方

重度の慢性疾患は、インプラント治療のリスクを大きく増加させる可能性があります。特に、糖尿病、心血管疾患、自己免疫疾患などが該当します。

糖尿病とインプラント治療

糖尿病は、インプラント治療にとって特に注意が必要な疾患です。血糖コントロールが十分にできていない糖尿病患者の方は、以下のようなリスクを抱えています。
感染リスクの増加:糖尿病患者は、感染症にかかりやすく、手術部位の感染やインプラント周囲炎を起こす重大なリスクとなります。

治癒力の低下:糖尿病は、傷の治癒を遅らせることが知られています。そのため、インプラント手術後にインプラントがうまく定着しない可能性があります。

これらのリスクを踏まえ、糖尿病患者がインプラント治療を受ける場合は、インプラント治療前からの十分な血糖コントロールが必須となります。主治医と歯科医師とで密に連携することで、感染予防や治癒促進のための適切な管理を受けることができます。

その他の慢性疾患とインプラント治療

心血管疾患や自己免疫疾患などの慢性疾患も、インプラント治療のリスクを増加させる可能性があります。

心血管疾患:心血管疾患患者は、インプラント治療の外科手術においてリスクを伴う可能性があります。例えば、コントロールされていない高血圧は、手術のストレスによる合併症を引き起こすことがあります。さらに、心臓弁膜症や不整脈でペースメーカーを使用している人は、感染性心内膜炎の発症リスクが増える可能性があります。

自己免疫疾患:自己免疫疾患は、免疫システムが体の正常な組織を攻撃してしまう病気です。代表的な自己免疫疾患としては、リウマチ、関節炎、全身性エリテマトーデスなどがあります。自己免疫疾患ではインプラントと骨との結合に悪影響があると言われており、インプラントの失敗リスクが高くなります。

これらの疾患をお持ちの方は、インプラント治療を受ける前に、主治医と歯科医師と相談することが重要です。

まとめ

いかがでしょうか。今回はインプラント治療を見合わせるべきかもしれない3つの具体的なケースについて解説しました。

インプラント治療は審美的で機能的な治療法ですが、ヘビースモーカー、定期的なメンテナンスに行かなくて良いと考えている人、重度の慢性疾患を持つ人はリスクが伴います。治療を受ける前には、これらの条件を考慮して、歯科医師と十分に相談し、慎重に検討することが重要です。これにより、インプラント治療の成功率を高めることができ、快適な食事を続けることができるでしょう。

名古屋市千種区にある歯医者 ちくさ池下歯科・矯正歯科では、日本口腔インプラント学会専門医・日本補綴歯科学会専門医・日本顎関節学会専門医の資格を持つ院長が、審美性と噛み合わせのバランスを考えたインプラント治療を提供しています。まずは相談だけでも、もちろん可能です。お悩みや不安について、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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